メラトニンと睡眠リズム
メラトニンという言葉を聞いたことがありますか?
メラトニンは睡眠リズムに深いかかわりのあるホルモンです。
人が、いつも決まった時間に眠たくなるのはなぜでしょう?
海外に旅行に行くと時差ボケになります。でも、数日すると現地の時間に体が順応します。日本に戻ってきてから、再び時差ボケの状態になりますが、やはり数日すると体は旅行に出かける前の睡眠リズムを取り戻します。
定期的に夜勤をする職業の人はどうでしょう。
夜勤明けに長時間眠っても、その夜には大体いつもと同じ時間に眠りにつくことができます。
これらのメカニズムには、メラトニンという睡眠ホルモンが深くかかわっています。では、メラトニンは体内でどのような働きをしているのでしょう?
メラトニンの働き
メラトニンは、アセチル-5-メトキシトリプタミンとも呼ばれている天然の化合物です。人間では、ホルモンの一種として脳の松果体というところから分泌されています。
メラトニンの血中濃度は時間の経過とともに変化していきます。昼には血中濃度は低く、夜になるとメラトニンの血中濃度は高くなります。
メラトニンの血中濃度が高くなると、体温が低下し、呼吸や脈拍数が減り、血圧が低くなります。交感神経が抑制され、副交感神経は働きを強めます。交感神経と副交感神経は自律神経でお互いに相対的に働きます。交感神経は人間が活発に働いているときに働き、副交感神経は身体を休養に導きます。
体温が低くなると、人は眠気を感じます。そのうえ、副交感神経が働き呼吸や脈拍や血圧が低くなった状態は、睡眠の準備が整った状態です。
つまり、メラトニンの血中濃度が高くなると人は睡眠をとりたくなるのです。
メラトニンと体内時計
では、メラトニンが昼間は少なく、夜になると増えるのはなぜでしょう。もしかして昼間に眠気が強くなるのは間違ってメラトニンが増えてしまっているからではないでしょうか?
いいえ、メラトニンは昼間に分泌量が増えるということは決してありません。
メラトニンは、光にとても敏感なホルモンです。強い光に当たると、メラトニンは消えてしまうのです。
人間の体内時計は、実は25時間で設定されています。そのため、本来は毎日1時間ずつ地上の時間と体内の時間がずれて行くはずなのです。しかし、そうならずに毎日同じ時間に眠り、同じ時間に起きるのは、メラトニンの働きのお蔭です。
朝目覚めて朝日を浴びると、メラトニンは消滅し、体内時計はリセットされるのです。そして、リセットされた瞬間から、メラトニンは再び15~16時間かけて増えて行くのです。
メラトニンを上手く働かせる方法
メラトニンが体内時計や規則的な睡眠にとても重要な働きをしていることは分かりました。しかし、現在の生活はメラトニンの働きにとっては邪魔なものが多く、睡眠リズムが崩れやすくなっています。
上質な睡眠をとるためには、メラトニンを上手に働かせなければなりません。それには、光のコントロールが重要になります。
まず、朝は必ずカーテンを開け、朝の光を浴びることです。曇りや雨で暗いと感じていても、朝日が昇っていれば大丈夫です。メラトニンが体内時計をリセットさせるのに十分な光が曇りや雨の日でもあるのです。
冬、起きる時間に朝日が昇っていないのならば、明かりをつけて光を感じましょう。朝一番に体内時計をリセットさせるのは、睡眠リズムを保つためにはとても大切です。
反対に夜はあまり強い光を浴びないようにしましょう。テレビの光、パソコンやスマートフォンの光はメラトニンを減らしてしまい、眠気を遠ざけてしまいます。
睡眠時は、部屋をできるだけ暗くしましょう。豆電球の光でも、メラトニンにとっては明るすぎます。トイレに行くときに電気をつけてしまうと目が覚めてもう一度眠りにつきにくくなってしまいます。フットライトなどを利用し、目に直接光が入らないように工夫をしましょう。
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