寝だめはできるのか?休日に平日分の睡眠をとることは可能?
平日は仕事や学校で不本意に早起きをしなければならず、夜はつい夜更かしをしてしまい寝不足になりがちです。休日はできるだけたくさん寝て寝だめをしておき、平日の寝不足を補っておきたいと考えます。でも、その前に「寝だめ」はできるのでしょうか?
睡眠負債と睡眠物質
そもそも人はどうして眠たくなるのでしょう。それは、体内時計で睡眠と覚醒のバランスがコントロールされているからです。でも、体内時計のコントロールだけでは説明がつかないことがあります。
重労働をして疲れた時、前夜いつもよりも睡眠時間が短かったときなどは早く睡魔が襲ってきます。恐らく疲労した夜は睡眠は深く上質になるのではないでしょうか。こういった疲労と睡眠の関係は体内時計の働きが関係していません。
どうやら、人は活動していると睡眠を誘発する「睡眠物質」というものが蓄積されるようです。「睡眠物質」がどういうものなのか、まだ研究段階なのですが、最も有力なのがアデノシンが「睡眠物質」であるという説です。
人の身体にはATP(アデノシン三リン酸)によって筋肉を動かしたり代謝を行ったりしています。脳内にもATPは存在し、神経伝達物質が分泌されるときに一緒に放出されています。
ATPが分解されるときにアデノシンが合成されるのですが、脳内のアデノシン濃度は起きているときには濃度が高くなって行き、睡眠中は濃度がどんどん低くなって行きます。
つまり、アデノシンが蓄積され濃度が高くなって行くと「睡眠負債」が増えていきます。この「睡眠負債」を解消するため、眠気が襲ってくると考えられます。
寝だめはできない
さて、寝だめができるかどうかという問題ですが、あらかじめ眠りをためておくことはできません。なぜなら、溜まっていないアデノシンを先に減らしておくことはできないからです。
「でも、休日にゆっくり寝たら疲れが取れてすっきりするけど。」という人もいるでしょう。それは、溜まっていた睡眠負債を返済したからです。
つまり、休日にゆっくりと休んで体調を整えるのは、すでに溜まった疲れを取るためです。未来の睡眠不足に備えて睡眠をためておくことはできません。
また、あまり休日にたくさん眠ってしまうと、睡眠のリズムが崩れて逆に平日の睡眠不足を招いてしまいます。とくに、お休みだからと言って遅い時間まで寝ていると体内時計が狂ってしまうのでご注意ください。
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